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1. フランチャイズが「危ない」と言われる背景とは?
1-1. フランチャイズ=安心のイメージが崩れ始めた理由
かつては「フランチャイズ=安定」「独立しても本部が支えてくれる」といった安心感があり、脱サラ希望者や未経験者から大きな信頼を集めていました。しかし、近年は「フランチャイズ=危ない」という声も多く聞かれるようになっています。その背景には、ビジネスモデルの過熱や加盟者数の急増により、質の悪いフランチャイズ本部も増え、トラブルが目立ってきたことがあります。
特に「副業ブーム」や「コロナ後の独立需要」で新規参入が一気に増えた結果、安易な本部運営が横行し、本部のサポート不足、誇大広告、契約内容の不備などが露呈。これにより、一部のフランチャイズが「怪しい」「危ない」とされるようになったのです。
1-2. 実際のトラブル件数から見る加盟リスクの現実
中小企業庁の調査や弁護士協会などの報告によれば、毎年数百件のフランチャイズに関するトラブル相談が寄せられており、特に増加傾向にあるのが「説明と違う売上実績」「ロイヤリティが重すぎて経営できない」といった問題です。開業後に想定していた収支モデルと現実が大きく乖離していたというケースが多く、本部との関係悪化、訴訟、最悪の場合は廃業にまで発展しています。
これは「誰でもできる」「すぐ儲かる」などの甘い言葉に惹かれて契約してしまうことで、実態を把握しないままリスクを負ってしまうパターンが主な原因です。フランチャイズにはメリットも多くありますが、「契約前に徹底的に調べる」姿勢が必要不可欠です。
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2. 危険なフランチャイズ本部の特徴とは?
2-1. 怪しい・悪質なFC本部に共通する5つのパターン
危険なフランチャイズ本部には、いくつかの共通点があります。主な特徴は以下の通りです:
1. 加盟店を「数」で増やすことに注力し、質が伴っていない
2. 加盟説明会でのデータが曖昧・出典不明(例:「平均売上〇〇円」など)
3. 契約書の開示が遅い、または質問に曖昧な回答しか返さない
4. 「今契約すれば特典あり」など急がせる営業スタイル
5. トラブル時の対応が遅く、相談窓口が存在しない
このような特徴が見られる場合は、たとえブランド名が有名でも、一度立ち止まって冷静に判断する必要があります。
2-2. 加盟説明会で違和感を感じたら即チェックすべきこと
加盟説明会は、ある意味で「フランチャイズの顔」と言えます。そこで違和感を感じたら、必ず以下をチェックしましょう:
・ 実際の加盟店オーナーと直接話せるか
・ 収支シミュレーションに根拠があるか
・ 契約内容を急がせてこないか
・ 加盟後のサポート体制が明示されているか
説明会の段階で不信感がある場合、それは「本契約後に起こるであろう問題」の前兆です。本部の誠実さは、この時点でかなり見抜けます。
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3. フランチャイズで実際に起きたトラブル事例
3-1. 加盟後すぐ閉店…事前説明と違ったケース
あるラーメンチェーンに加盟したAさんは、事前に提示された売上想定を信じて脱サラ・独立を決意。しかし開業後、半年で黒字化するどころか、家賃すら支払えない状況に。実は、シミュレーションに使われていたデータは繁忙期だけを切り取ったもので、年間通じての平均ではなかったのです。
また、「近隣には競合が少ない」と言われていたにもかかわらず、周辺には同業態の店が多数あり、開業初月から赤字が続いたとのこと。本部は「経営努力が足りない」として支援を行わず、結果的に1年以内に撤退となりました。
3-2. ロイヤリティ負担で赤字転落した実例とは
大手コンビニに加盟したBさんは、安定収益を期待して開業。しかし、売上が想定の7割に届かない月でも、定額ロイヤリティと本部指定の仕入れ義務で支出が膨らみ、3ヶ月目で資金繰りが限界に。売上連動型であれば救われたかもしれませんが、契約内容は「固定+売上比率」という二重のロイヤリティ体系でした。
こちらで、フランチャイズ契約におけるロイヤリティ制度とそのリスクについて詳しく紹介しています。
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4. SNSや口コミに潜む「悪評」の真偽を見抜く方法
4-1. 悪評のあるフランチャイズに共通する投稿内容とは
「本部が何も助けてくれなかった」「研修内容が薄すぎる」「サポート担当がコロコロ変わる」など、悪評の投稿には一定の共通点があります。これらが複数の媒体に投稿されている場合、単なる個人的な感情ではなく、実際に組織的な問題を抱えている可能性が高いです。
一方で、「客が来ない」「人手不足でつらい」といった内容は、個別事情によることも多く、フランチャイズそのものの問題とは言い切れないケースもあります。
4-2. 信頼できるレビュー・嘘くさい口コミを見極めるコツ
口コミをチェックする際は、以下のポイントに注目しましょう:
・ 複数の媒体(Google口コミ、X、YouTube等)で言及されているか
・ 投稿者が実名・顔出しで体験談を語っているか
・ 過剰に良すぎる評価(全て星5など)ではないか
逆に、本部が自作自演しているような口コミは、抽象的で「すごく良い!」「最高です!」といった内容ばかりです。信頼性を重視するなら、体験談形式の情報に注目すると良いでしょう。
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5. 契約書で絶対に確認すべき危険サイン
5-1. 加盟金や違約金に「例外条項」がある場合の注意点
契約書において「例外的に本部が判断することがある」などの曖昧な表現がある場合、それは極めて危険です。とくに以下のような文言には注意してください:
・ 「状況により変更の可能性あり」
・ 「本部の裁量による」
・ 「やむを得ない場合は〜」
これらは本部の都合で加盟者に不利な変更がされる可能性を示しており、法的トラブルに発展しやすいポイントです。
5-2. 解約条件と免責事項の記述に要注意
「解約は〇年経過後のみ可」「違約金として〇万円を一括請求」など、解約条件が厳しすぎるフランチャイズは注意が必要です。特に悪質な例では、初期投資をすべて加盟者に背負わせ、本部は損をしない構造になっていることがあります。
また、「本部は責任を負わない」といった免責事項が多い契約は危険です。契約前に必ず専門家(弁護士・司法書士など)にチェックしてもらいましょう。
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6. 「儲かる」と断言するフランチャイズの裏側
6-1. 「初月から黒字」など誇大広告の実態
多くのフランチャイズ本部は、加盟希望者を惹きつけるために「初月から黒字」「3ヶ月で回収可能」などと強調する資料を提示してきます。しかし、これらはすべての加盟者に当てはまる事実ではなく、過去のごく一部の成功例や特殊な条件下での実績をベースにしていることが多いのです。
特に注意したいのが「平均売上」や「月収○万円」などの表記。それらの数字には「最も成功している店舗」や「都心の一等地で経営しているケース」が含まれており、実態とかけ離れていることも少なくありません。また、「成功例」の裏には失敗して撤退した多くのケースが隠されていることも。こうした事実を十分に開示せず、「誰でも稼げる」印象を与える広告は、フランチャイズ業界の信頼を揺るがす一因になっています。
6-2. シミュレーション資料の読み方と落とし穴
契約前に提示される収支シミュレーションは、加盟希望者にとって非常に重要な判断材料です。しかし、このシミュレーションにも多数の落とし穴があります。例えば、家賃や人件費が地域ごとに大きく異なるのに、それが考慮されていない例。もしくは、ロイヤリティや仕入れコストの詳細が明記されていないケースもあります。
また、季節変動や開業初期の集客に関する費用、キャンペーンコストなどが一切含まれていないこともあります。こうした「都合のいい前提」に基づいた収支モデルでは、実際の経営との乖離が大きくなり、計画が崩壊するリスクも高まります。納得できるまで本部に質問し、不透明な点はすべてクリアにすることが重要です。
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7. 悪質な加盟営業の手口に要注意
7-1. 独立希望者を狙う「押し売り型営業」の実態
フランチャイズ業界では、加盟営業担当が成績ノルマを持っているケースが多く、その結果として「押し売り型」の営業が蔓延している実態があります。たとえば、以下のような手口には注意が必要です:
・ 説明会後に毎日のように電話やLINEが来る
・ 「あと1枠しか残っていない」と急かしてくる
・ 「今回だけ加盟金を割引」と特別感を演出してくる
・ 「このエリアは絶対に儲かる」と断言する
このような強引な営業を受けた場合、冷静に「なぜ急かされているのか?」を考えるべきです。本当に将来性があり、信頼されているフランチャイズ本部であれば、こちらが納得するまでじっくり対応するはずです。
7-2. 営業マンの言葉と契約書のギャップに注意
営業トークと契約書の内容が一致していないことは、フランチャイズトラブルの大きな原因のひとつです。営業担当者から「〇〇は任意なので参加しなくてもOKです」と言われていても、契約書には「必須」と明記されていることがよくあります。
「口約束」や説明時の言葉は法的効力が弱く、あくまで契約書の内容が優先されます。納得できない条項がある場合はその場で修正を求めるか、署名を保留し、専門家に相談する判断が必要です。
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8. 行政処分を受けたフランチャイズ事例
8-1. 実在する行政処分リストとその内容
一部の悪質なフランチャイズ本部は、消費者庁や公正取引委員会から行政処分を受けています。たとえば「誇大広告による募集」や「契約内容の不実告知」「加盟後のサポート放棄」などが該当し、過去には複数の有名ブランドも対象となったことがあります。
実際の事例として、あるクリーニング系フランチャイズでは、研修の内容がほとんどなく、現場業務も加盟者任せという状況で運営されており、約20名の加盟者が一斉に告発する事態に。これを受け、行政は是正命令と再発防止策の提出を求めました。
\[h3>8-2. 業界団体の警告・注意喚起の内容を知っておこう
日本フランチャイズチェーン協会(JFA)などの業界団体は、信頼性の低いフランチャイズに対して注意喚起を行っています。加盟検討中の本部がJFAに加盟しているかどうか、過去に警告を受けた履歴がないかなどを確認することは、非常に有効なリスク回避策となります。
また、地方自治体や商工会議所が開催するセミナーでは、トラブル事例や法的対応について紹介されることもあります。積極的に情報収集を行うことが、安心した開業への第一歩です。
こちらで、悪質フランチャイズの判断基準とトラブル回避の方法について詳しく紹介しています。
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9. フランチャイズで訴訟になったケースを学ぶ
9-1. 加盟者が本部を訴えた有名裁判例
フランチャイズにおける訴訟事例は、単なるトラブルでは済まない深刻な問題へと発展したケースです。特に有名なのが、某飲食フランチャイズで起きた「過大な収益シミュレーション」に関する訴訟事件。本部が提示した収支予想に信頼性がなく、複数の加盟者が一斉に訴訟を起こしました。
裁判の結果、裁判所は「営業担当の説明に問題があった」として、本部に一部賠償を命じる判決を下しました。このような事例は、他人事ではありません。契約時の証拠(録音・書面・メール等)を残しておくことが重要です。
9-2. 法律的に争う際の論点とリスク
フランチャイズ契約をめぐる裁判では、主に以下の論点が争点となります:
・ 勧誘時の説明が適切だったか(説明義務違反)
・ 契約条項が不当ではなかったか(公序良俗違反)
・ サポート体制の不履行がなかったか(債務不履行)
また、訴訟は時間もコストもかかり、加盟者にとっては精神的・金銭的に非常に負担が大きくなります。できる限り、契約前の情報精査とトラブル予防でリスクを避けることが理想です。
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10. 途中解約トラブルを防ぐためにできること
10-1. 解約金・契約期間の縛りに注意すべき理由
「やってみて無理だったら辞めればいい」と考えるのは危険です。多くのフランチャイズ契約では、契約期間が5年や10年と長期に設定されており、中途解約には数百万円単位の違約金が発生することもあります。
また、契約条項によっては「開業後1年以内の解約は不可」といった条件が付いている場合もあるため、途中で辞めたくても辞められない状況に追い込まれるケースも。事前にこのような縛りを確認し、自身のライフプランに合った本部を選ぶことが大切です。
10-2. 契約後でも有効なトラブル回避策とは
契約後に不安や不満を感じた際は、以下のアクションを取りましょう:
・ 本部とのやりとりは必ず書面またはメールで残す
・ 第三者機関(国民生活センターや弁護士)に早めに相談
・ 同じフランチャイズに加盟している他のオーナーと情報共有
特に「相談相手がいない」という状況は危険です。オーナー同士の交流会やSNSグループなどを活用して、孤立を防ぐことも長期経営において重要な要素となります。
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